[ぷちコラム05] 町名ではない地名:海岸町編

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ご好評を頂いている「町名ではない地名」シリーズ、第4弾は海岸町編をお送りします。

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この地区は大きく分けて、旧札幌通り沿いの旧港町と旧泉町、そして崖下の埋立地である海岸町の2つのエリアから成り立っています。

現在でこそ旧室蘭駅がある海岸通りはメインストリートの趣ですが、このあたりは明治後半まで海でした! この海を埋め立てて出来た平地が「海岸町」。やがて明治42年に室蘭駅(3代目)が出来て、そのあたりが栄えたというわけです。
このため、昭和41年の住居表示の際に、札幌通り沿いの港町と泉町は、この海岸町に吸収される形で無くなってしまいました。

しかし、歴史的には海沿いの高台の上を通っていた札幌通りがもともとの室蘭のメインストリート、メインの市街地だったんですね。なのでこの通り沿い、西洋風に言えば室蘭の旧市街、「OLD MURORAN」と呼ぶのに相応しいと思います。

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中央埠頭から見た問屋の坂周辺。手前側の平地はかつて海だった。

前置きが長くなりましたが、いつものように各地区の解説をしたいと思います。

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■港町
知らない人が聞いたら、なんでこんな高台の上が港町なんだ? と混乱するかもしれませんが、こここそが近代室蘭発祥の地なのです。
明治5年に、現在のヤマコしらかわさんの前あたりに初めて木造桟橋が設けられました。(トキカラモイ桟橋)これに伴い、海関所や室蘭郡役所が対岸の本室蘭から移転し、ここが新室蘭として発展したのです。
以来、港町には郡役所や病院、旅館などが立ち並び、おおいに栄えました。現在山手町にある市立病院が、以前常盤町にあったことを記憶している方も多いと思 いますが、常盤町に移転する以前の市立病院は、実は港町にありました。また当時有名だった創成館などの旅館も港町にありました。
ここのもともとの地名は札幌通2丁目。その後大正11年の市制施行に伴い、港町と改められて長く親しまれましたが、昭和41年の住居表示で海岸町に編入され、海岸町3丁目となりました。

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かつての室蘭郡役所跡地隣接地にある海岸町3丁目公園

■泉町
もともとの地名は札幌通3丁目、大正11年の市政施行に伴い、泉町と改められたこの地区は、室蘭八幡宮をいただく高台周辺に広がり、当時から豊富な湧水があったことから名付けられました。ここも昭和41年の住居表示で海岸町に編入され、海岸町2丁目となりました。
この地での湧水は、古くは船への給水に使われ、水道が整備される前は簡易水道として蘭西地区の上水道を支え、多くの造り酒屋で地酒が作られ、金港サイダー などを産み、まさに室蘭にとって恵みの水、命の水でした。その水は今も枯れることなく、旧産業会館跡の斜面から湧き続けています。

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海岸町2丁目付近にある石垣。上が旧泉町、
下がもともとは海だった海岸町

中央町・海岸町の締めくくりとして、両地区の地図をつなげた地図を掲載します。旧札幌通り沿いに拓けていった町並みを感じて頂けたら嬉しいですね。

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